空気配管の圧力損失とは？【エアの圧力が低下する原因と対応方法】

圧縮空気システムは、工場や機械の動力源として不可欠ですが、その効率を損なう圧力損失が問題となることがあります。今回は、圧力損失がどのようにして発生するのか、その主要な原因と改善方法について解説していきます。

空気の圧力損失（圧損）とは？

空気の圧力損失は、一般的に「圧損（あっそん）」と呼ばれていて、圧縮空気が配管システムを通過する過程で遭遇する抵抗によって生じる損失のことです。エアーコンプレッサーによって生み出された圧縮空気が、実際の使用場所である工場の機械まで届くまでにさまざまな損失の要素があるため、その結果として使用場所では圧力が下落してしまいます。

この圧力の減少は、主に空気の移動に伴う配管内壁との摩擦や、配管の曲がり角などの存在に起因します。たとえば、エアーコンプレッサーが0.7MPa の圧力で圧縮空気を送り出したとしましょう。しかし、使用地点での圧力が0.65MPa しかない場合、その差である0.05MPa が圧損として認識されます。配管内で圧損が起こると、必要となる圧力以上の供給圧力を持ったエアコンプレッサーが必要となってしまい、非効率かつ高コストの要因になってしまいます。

圧力損失が起こる原因

圧力損失の原因は多岐にわたります。たとえば、圧力損失の主要な原因として、以下のものが挙げられます。

●配管の長さと直径：配管が長くなると、空気がその距離を移動する間により多くの摩擦が生じます。この摩擦は圧力の減少を招きます。また、直径が小さい配管だと、空気が流れるスペースが限られる分だけ摩擦が増えて、結果として圧力損失が大きくなってしまうのです。

●配管内の曲がりや狭窄部分：配管の曲がり角や狭まった部分は、空気の流れを乱してしまい、空気がスムーズに流れるのを妨げて圧力を下げる原因となります。

●空気の速度：空気の流速が大きいと、空気分子間および空気分子と配管内壁との衝突が頻繁に起こるようになり、圧力損失を引き起こす要因となります。

●エア漏れ：配管システムにエア漏れがあると、圧縮空気の一部が外へ逃げてしまい圧力を下げる要因となってしまいます。

圧縮空気の配管システムの圧損を考える際には、これらの原因を念頭に置きながら改善を図っていく必要があるでしょう。

圧力損失を改善する方法

圧力損失の問題を解決し、システムの効率を向上させるためには、複数のアプローチが有効です。ここでは、いくつかの改善策をご紹介していきます。

●配管径の最適化：配管の直径を最適化することで、内部の空気抵抗を減らし圧力損失を軽減できます。理想的な配管としては工場全体を囲うループ配管をお勧め致します。どこの取出し口からも安定した圧力の圧縮空気が提供できます。

●配管直線部の確保：配管の曲がり角を減らして直線部を増やすことで、配管内の空気の流れがスムーズになり、摩擦による損失を最小限に抑えられます。

●配管内障害物の除去：配管内の障害物となる不要な分岐や狭窄部分を改善することで、配管内での圧力損失を防げます。

●配管の内部清掃：配管内に異物がある状態だと圧力損失の要因となってしまいます。定期的に配管内部を清掃し、摩擦を増やす可能性のある汚れや異物を除去することで圧損を軽減できます。

●エア漏れの修正：配管の接続部やジョイントでの空気漏れを特定し、改善することで無駄な圧力損失を防ぎます。エア漏れの修正による圧損軽減効果は設備の動作効率面からも重要です。一般財団法人省エネルギーセンターの試算によると、37kW（50馬力）のコンプレッサーを利用しているときに、エアの漏れ率を20％から4%に改善することで、年間で54万円を削減でき、18tのCO2を減らせるとしています。（出典：一般財団法人省エネルギーセンター「工場の省エネルギーガイドブック」）

●圧力設定の最適化：実際に使用する機器やツールに必要な最低限の圧力に設定し運用することで、無駄な圧損を防ぎ圧縮空気をより効率的に届けられるようになります。

これらの改善策を複合的に実施することで、圧縮空気システムの圧力損失を軽減し、エネルギー消費を削減し、運用コストの低減にもつなげられるようになります。

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