
省エネ
2022/11/13
電気代高騰に備えるコンプレッサーの省エネ施策!3つのポイントを解説
工場設備の省エネは、省エネ法が適用される事業者にとって必要不可欠なことです。近年では、エネルギーの価格が高騰していることもあり、コスト低減の観点でも重要になっていることに加えて、SDGsの点でも省エネは注目されています。今回は、コンプレッサーの省エネ施策について、その必要性と具体的な方法について解説していきます。
コンプレッサーの省エネ施策の必要性
コンプレッサーの消費電力が工場全体に占める割合は20~25%とされています。日本の電力使用の約50%が産業分野であることから、日本の電力消費の約10%がコンプレッサーによって消費されていることになります。
このような背景から、工場における省エネの取り組みの中でも、コンプレッサーの省エネは優先順位の高くなっているのです。
コンプレッサーの省エネ目標設定
一般的に省エネ目標を設定する際に重要となる指標が、エネルギー原単位です。
エネルギー原単位とは、エネルギー使用量と、エネルギー使用量との間に密接な関係がある生産量によって示される単位のことです。
コンプレッサーの場合は、典型的なエネルギー原単位として「1m3の空気を圧縮するのに必要なコスト」が挙げられます。
「1m3の空気を圧縮するのに必要なコスト」は次のように計算できます。
1m3の空気を圧縮するのに必要なコスト
=(所用動力[kWh] × 電力コスト[円/kWh])÷(吐出空気量[m3/分] × 60[分])
省エネ目標を設定する際には、この原単位をいくらからいくらに変えるのかを目標として設定する必要があります。
コンプレッサーの省エネ施策3つのポイント
コンプレッサーを省エネで運用する際のポイントは、以下3つです。
- ● 無駄な使用を避ける
- ● 適正な圧力で運転する
- ● 定期点検・メンテナンスをする
無駄な使用を避ける
第一にコンプレッサーの無駄な使用を避けることです。複数のコンプレッサーを運用している場合、コンプレッサーごとに稼働率のばらつきが出るものです。コンプレッサーの運転状況を監視して、稼働率の低いコンプレッサーを特定し、積極的に運転を止めることでコンプレッサーが消費する電力を削減できるようになります。
また、コンプレッサーが供給する圧縮空気の供給先の設備にも、使用頻度のばらつきがあることでしょう。そうした設備を特定して、コンプレッサーの運転を制御することで無駄な電力使用を避けられます。
運転状況や使用頻度によっては、複数のコンプレッサーを統合してコンプレッサーの数を減らすことも有効な方法かもしれません。
複数のコンプレッサーを運用しているなら、まずは無駄に使用されていないかをチェックすることから始めてみましょう。
無駄な使用を避けるという点では、単純に設備の運転を定期的に止めることも有効です。たとえば、休憩時間にコンプレッサーを一時的に停止する方法があります。ただし、機械を停止することによる省エネ効果よりも、コンプレッサーを再度立ち上げるために必要となる電力の方が大きくなる可能性もあるので、実証実験を経てから実行するようにしましょう。
適正な圧力で運転する
コンプレッサーを適正な圧力で運転させることも省エネには重要です。コンプレッサーの吐出圧力が高くなればなるほど、コンプレッサーの動力を必要とするからです。一般財団法人「省エネルギーセンター」は、吐出圧力を0.7MPaから0.6MPaに低下させることで、およそ8%の省エネになると報告しています。
出典:省エネルギーセンター「工場の省エネルギーガイドブック」コンプレッサー吐出圧力対消費電力(理論値)
もし、設備で必要とされる圧力よりも高い圧力を供給している場合は、必要な圧力だけを供給できるように見直すことで省エネを促進できます。
たとえば、設備ごとに必要となる供給圧力にばらつきがあるのに、最も供給圧力の高い設備にあわせて圧力設定すると、多くのコンプレッサーでは必要以上に高圧の圧縮空気を供給することになってしまいます。
また、高圧を必要とする設備の使用頻度が少ないのであれば、その設備の使用頻度に合わせて供給圧力を変えることも有効でしょう。
もし、設備ごとに必要とされる圧力が異なるのであれば、必要最小限の圧力を必要最小限の頻度で供給できるようにしてみましょう。
定期点検・メンテナンスをする
コンプレッサーの定期点検・メンテナンスも省エネには重要です。コンプレッサーの圧縮効率は、部品が経年劣化することによって徐々に低下していきます。圧縮効率が低下すると、消費電力が増えてエネルギー原単位が上がってしまいます。
本体に定期的に潤滑油を補給するのはもちろん、経年劣化に弱い消耗部品を積極的に交換することで、少しでも新品に近い状態でコンプレッサーを運転させることが重要なのです。
また、圧縮空気を供給するエア配管のチェックも省エネには重要です。もし、エア配管の継ぎ手やパッキンなどからエア漏れが起こると、必要な圧力を供給するのに余分なエネルギーを必要としていまいます。
前述の「省エネルギーセンター」では、空気配管が正常時(以下左図)と、漏れが大きいとき(以下右図)で、圧力の降下状況を試算しています。
出典:省エネルギーセンター「工場の省エネルギーガイドブック」空気配管漏れチェック図
現状の設備における空気の漏れ率が20%のところ、80%の漏れを改善して漏れ率が4%になると、省エネ効果は16%になるとしています。
継ぎ手やパッキンなどがある接続部分を中心に、定期的にエア漏れの点検をすることで、エア漏れをチェックするようにしましょう。
圧縮空気によって動作する設備側の経年劣化も省エネに影響するので、設備側のメンテナンスも忘れないようにしましょう。
コンプレッサーの交換も省エネ効果あり
上記4つの施策によって省エネを促進できるとはいうものの、省エネ効果には限界があります。さらなる省エネを望むのであれば、省エネタイプのコンプレッサーに交換することを考えてみましょう。たとえば効率のよいモーターを使用した最新型のコンプレッサーを使えば、その分だけエネルギー原単位の改善が可能になります。
もし、最新コンプレッサーの導入によるコストと、工事・試運転の期間等を許容できるのであれば、最新型の省エネコンプレッサーへの交換を積極的に検討してみてもよいでしょう。
コンプレッサーの省エネ施策は重要
工場の省エネを推進する際に非常に重要な施策となるのが、消費電力の割合が大きいコンプレッサーの省エネです。コンプレッサーは運転状態を検証して、無駄をなくすことで省エネが可能になりますが、それだけだと省エネをするにも限界があります。そこでおすすめなのが、省エネタイプのコンプレッサーを導入することです。コンプレッサーにはさまざまなタイプがあるので、「うちの工場にとって、どれが最適なのかわからない」という方も少なくないでしょう。
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