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2023/04/05

Nm3 (ノルマルリューベ) と m3 (リューベ) の違いは?【換算式とあわせて解説】

「Nm3」や「m3」はともに空気量を表す単位ですが、2つの違いは基準となる空気の状態です。「Nm3(ノルマルリューベ)」は圧力や温度、湿度に左右されない実量を示す一方で、「m3(リューベ)」は実際の体積を示しています。この記事では、Nm3はノルマルリューベのことで、m3はリューベの違いについて背景にある物理法則も交えて解説していきます。

 

ボイル・シャルルの法則とは?

ボイル・シャルルの法則とは?

 


Nm3(ノルマルリューベ)」と「m3(リューベ)」の違いを理解するためには、ボイル・シャルルの法則を理解する必要があります。ボイル・シャルルの法則とは、理想気体の圧力、体積、温度の関係を表す物理学の法則です。

ボイル・シャルルの法則は、以下の数式で表されます。

P1V1 / T1 = P2V2 / T2

P1とV1は最初の状態における気体の圧力と体積を表し、P2とV2は状態が変わったあとの気体の圧力と体積を表す記号です。

ボイル・シャルルの法則によれば、気体の圧力が上がると体積は減少し、気体の圧力が下がると体積は増加ことが理解できます。あわせて、気体の温度が上がると体積も増加し、気体の温度が下がると体積も減少することもわかります。

つまり空気量を示す体積は、気体の圧力や温度によって異なってくるのです。

Nm3 (ノルマルリューベ) と m3 (リューベ) の違い

Nm3 (ノルマルリューベ) と m3 (リューベ) の違い

 


「Nm3(ノルマルリューベ)」」や「m3(リューベ)」は、ともに空気量を表す単位ですが、基準とする空気の状態に違いがあります。それぞれの違いと換算式について詳しく見ていきましょう。

 

Nm3(ノルマルリューベ)とは?

Nm3は「ノルマルリューベ(Normal Cubic Meter)」の略称で、圧力・温度・湿度が基準状態に揃っているときの空気量を表す単位です。基準状態とは、大気圧が1.0332kgf/cm²、温度が0℃(273K)の乾燥空気のことです。Nm3は、空気圧縮機や気体供給装置などの仕様表示に使われます。エアコンプレッサーの場合、海外メーカーの製品でノルマルリューベの表示がよく使用されています。

 

m3(リューベ)とは?

m3は「リューベ(Cubic Meter)」の略称で、実際の空気の体積を表す単位です。たとえば、同じ1Nm3(ノルマルリューベ)の空気があるとして、1.0332kgf/cm²(大気圧)で温度が0℃であれば、その空気の体積は1m3(リューベ)となります。この場合は1ノルマルリューベと1リューベは同じです。

しかし、1.0332kgf/cm²(大気圧)で温度が100℃だと、1Nm3の空気の実際の体積は1.366m3となります。つまり、1ノルマルリューベが1.366リューベになるのです。一方で、2.0664kgf/cm²(2気圧)で温度が0℃でだと、1Nm3の空気の実際の体積は0.5m3となります。このように同じ1Nm3であっても、実際の空気量は温度や気圧によって異なるのです。

コンプレッサーの場合は容量表示の条件として、1.0332kgf/cm²(大気圧)で、温度30℃、湿度75%に換算された空気量を表すことが決められているので、その条件でm3(リューベ)を示すことになっています。エアコンプレッサーだと国内メーカーの仕様表示にリューベがよく使用されています。

 

Nm3 (ノルマルリューベ) と m3 (リューベ)の換算式


ボイル・シャルルの法則を用いると、Nm3 (ノルマルリューベ) と m3 (リューベ)の換算式を以下のように計算できます。

V1 / V2 = (P2 / P1) × (T1 / T2)

ここで、V1はNm3、V2はm3を表し、P1とT1はNm3の温度と圧力、P2とT2はm3の温度と圧力を表します。(温度の単位は絶対温度(K)なので注意しましょう)

Nm3 (ノルマルリューベ) から m3 (リューベ)を計算する場合は、上記の式を変形して以下のようになります。

V1 = (P2 / P1) × (T1 / T2) × V2

上記の計算式を使って、コンプレッサーの容量表示の条件である大気圧1.0332kgf/cm²、温度30℃、湿度75%の状態で10m3の空気が、ノルマルリューベになるとどうなるかを計算してみます。

(P2 / P1) = (1.0332 – 0.04326×0.75) / 1.0332
(T1 / T2) = 273 / (273+30)
V2 = 10m3

※計算式にある0.04326kgf/cm²は温度30℃のときの飽和圧力です。

上記の計算式から

V1 = 8.7Nm3

と換算できます。

つまり、コンプレッサーの容量表示の条件における空気量(リューベ)は、ノルマルリューベに比べて約15%ほど多くなっているのです。

このように空気量は温度と圧力によって異なるので、圧力や温度の基準をあわせて比較することが重要になります。そのための手段として、Nm3とm3のような基準が必要になるのです。

 

まとめ

まとめ

 


コンプレッサーの空気量表記におけるNm3とm3の違いを理解し、換算できるようにすることは、性能を正確に理解するために不可欠です。またコンプレッサーを購入する前には、Nm3またはm3のどちらが使用されているかを確認することも重要です。Nm3とm3を正しく理解して、間違いのないコンプレッサーを選定できるようにしましょう。

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