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2023/07/02

エアコンプレッサーのエア品質向上に役立つフィルタとは?

圧縮空気の品質向上に役立つ機器の1つとしてフィルタがあります。今回はエアコンプレッサーに用いるフィルタの役割・種類と、圧縮空気の品質等級について解説していきます。

 

コンプレッサーにおけるフィルタの役割

コンプレッサーにおけるフィルタの役割

エアコンプレッサーにおけるフィルタの役割は圧縮空気の品質を上げることです。空気には固体粒子(不純物、ゴミ、チリなど)や水分、オイルなどが含まれていて、これらの含有量が多いと圧縮空気の品質は低いとされ、これらの含有量が少ないと圧縮空気の品質は高いとされています。

 

圧縮空気の品質が低いまま使用すると、以下のような問題が発生してしまいます。

 

  • 金属部品の腐食、バルブやパイプのつまりなどによって高価な機器が損傷する
  • 製品を汚染してしまう
  • エアコンプレッサーや付属部品の性能や寿命を損なう
  • 故障による予期しないダウンタイムが発生する

 

フィルタを使って固体粒子、水分、オイルを圧縮空気の供給プロセスから除去することで、これらの問題を回避できるより高い品質の空気を供給できるようになるのです。

 

フィルタの種類

フィルタにはさまざまな種類がありますが、ここではアネスト岩田が分類している3つの種類について紹介していきます。

 

  • ラインフィルタ
  • サブミクロンフィルタ
  • マイクロミストフィルタ

 

ラインフィルタ

ラインフィルタとは、1~5μm(ミクロン)までの不純物や水分を取り除くためのものです。ラインフィルタは、大きな不純物を粗取りする目的で用いられます。

 

サブミクロンフィルタ

サブミクロンフィルタとは、0.3μm(ミクロン)までの不純物を除去するためのものです。サブミクロンフィルタは、ラインフィルタで除去できないより細かい不純物を除去して圧縮空気の品質を高めるために用いられます。

マイクロミストフィルタ

マイクロミストフィルタとは、0.01μm(ミクロン)までの不純物を除去するためのものです。マイクロミストフィルタは、サブミクロンフィルタでは除去できない不純物を除去して圧縮空気の品質をさらに高めるために用いられます。

 

圧縮空気の品質等級

圧縮空気の品質等級

圧縮空気には、品質レベルにあわせて品質等級があり、その品質等級は国際規格であるISO規格と日本の国家規格であるJIS規格によって定められています。たとえば、国際規格ISO8573-1では、圧縮空気を汚染する物質として固体粒子、湿度及び水分、オイルの3種類を定めていて、その3種類が含有されている量によって品質等級が決められています。品質等級は0から9までの数字とXで表現され、 0に近かければ近いほど品質等級が高いことを示します。

 

品質等級は以下のように表現されます。

 

ISO8573-1:2010[3:3:4]

 

[]内の一番左の数字は粒子等級、真ん中の数字は湿度と水分等級、一番右はオイル等級を示します。[3:3:4]の場合、粒子等級が3、湿度と水分等級が3、オイル等級が4であることを示します。

 

圧縮空気で動く機械を選定する際には、装置側の求める空気の品質等級を予め確認しておき、納入後のトラブルを回避するようにしましょう。一般的に用途別で推奨されている品質等級の例は以下のとおりです。

電子部品製造:[1:1:1]

写真用フィルム処理:[1:1:1]

食品飲料処理:[3:1:2]

塗装:[3:3:3]

機械工具:[3:3:4]

空圧工具:[4:4:4]

建築工事:[5:5:4]

 

たとえば、エアコンプレッサーから吐出される圧縮空気の等級が[6:8:4]で、ドライヤを通した後の等級が[6:3:4]となってします。

 

ここで、ろ過度3μmのラインフィルタを使うだけだと等級は[6:3:4]のままとなります。ろ過度0.3μm、二次側油分濃度1.0mg/m3のサブミクロンフィルタを使うと等級は[3:3:3]まで上げられて、さらにろ過度0.01μm、二次側油分濃度0.1mg/m3のマイクロミストフィルタを利用することで等級は[1:3:1]まで向上させられます。

 

アネスト岩田ラインフィルタ ALFシリーズ:ろ過度3μm アネスト岩田サブミクロンフィルタ ASFシリーズ:ろ過度0.1μm アネスト岩田マイクロミストフィルタ AMFシリーズ:ろ過度0.01μm
アネスト岩田ラインフィルタ ALFシリーズ:ろ過度3μm

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アネスト岩田サブミクロンフィルタ ASFシリーズ:ろ過度0.3μm

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アネスト岩田マイクロミストフィルタ AMFシリーズ:ろ過度0.01μm

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その他のエアフィルタ(主に15kW以上のコンプレッサー向け)

ピーエムエス株式会社

 

複数のフィルタを用いる場合の注意点

複数のフィルタを用いる際の注意点として、ろ過度の高いフィルタを先に取り付けないようにすることです。ろ過度の高いフィルタを先に取り付けると、フィルタの目詰まりが早まってしまい圧力低下の原因になってしまうからです。先ほど紹介した3種類のフィルタを取り付ける場合は、ラインフィルタ、サブミクロンフィルタ、マイクロミストフィルタの順で取り付ければ、ろ過度の低い順になって目詰まりを起こす可能性が低くなります。

 

まとめ

まとめ

圧縮空気の品質等級は、固体粒子、湿度及び水分、オイルの含有量によって決まってきます。品質等級を高めるために欠かせないのがフィルタです。フィルタは除去したい不純物の大きさによってさまざまな種類があるので、要求される品質等級にあわせたフィルタを選択する必要があります。エアコンプレッサーのプロ株式会社A&Cサービスでは、通販サイト「A&Cダイレクト」で多数のフィルタを取り扱っています。圧縮空気の品質等級を高めるのにお困りの方は、まずは株式会社A&Cサービスまでお問い合わせください。コンプレッサーのプロがお客様に最適なご提案をいたします。

 

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