絶対圧力とゲージ圧力の違いは？図解を交えて解説

圧力は私たちの日常生活や多くの専門分野において、重要な役割を果たしています。圧力の中でも「絶対圧力」と「ゲージ圧力」は、科学、工業、医療、気象学など、さまざまな分野で広く使用されている基本的な概念です。
 
今回は、「絶対圧力とゲージ圧力の違い」について詳しく解説していきます。

圧力とは？

圧力とは、力が均等に分散された状態で物体の単位面積あたりに垂直に加わる力の量のことです。圧力は「パスカル（Pa）」という単位で測定され、1パスカルは1平方メートルあたりに作用する1ニュートンの力と定義されています。
 
たとえば、標準的な大気圧は約101,325 Pa（ヘクトパスカルで約1013 hPa）とされ、これは海面近くの空気が1平方メートルあたり約10トンの重さになることを意味しています。
 
日常生活において、圧力の概念は非常に身近なものです。たとえば、以下のような場面で圧力が用いられます。

• 自動車のタイヤの空気圧
• 水道水の水圧
• 潜水時に感じる耳への圧力
• 血圧
• 天気で出てくる高気圧・低気圧

このように圧力はさまざまな場面で活用されていますが、その圧力は大きく分けると「絶対圧力」と「ゲージ圧力」に分けられます。

絶対圧力とは？

絶対圧力とは、物理学において完全な真空を基準点として定義される圧力のことです。絶対圧力は、通常の圧力計測において、大気圧やその他の圧力源を考慮しない純粋な圧力値として理解されています。
 
絶対圧力は、特に科学研究や工業分野で重要な役割を担っています。たとえば、大気圧の微妙な変化を捉える目的では使用されるのは絶対圧力です。絶対圧力を使うことで、高精度の気象データを収集し、天気予報の精度を高めることが可能になるからです。
 
また、真空技術の分野でも絶対圧力が不可欠とされています。真空ポンプの性能評価や、真空状態の監視においては、絶対圧力計が正確な圧力値を提供できるからです。そのため、食品包装業界における真空包装プロセスで絶対圧力計が活用されています。

ゲージ圧力とは？

ゲージ圧力とは、大気圧を基準として測定される圧力のことで、その測定値は大気圧による影響を除外したものです。つまりゲージ圧力は大気圧が0とされる基準点に対しての相対的な圧力値を示すのです。一般的な大気圧は約101.3 kPa（1013 hPa）であるため、この値を基準としてゲージ圧力が測定されます。

たとえば、自動車のタイヤの空気圧や人間の血圧などは、すべて大気圧を基準にしたゲージ圧力が用いられています。

絶対圧力とゲージ圧力の違い【換算式は？】

絶対圧力とゲージ圧力の違いは、それぞれが基準とする圧力の起点にあります。絶対圧力は、完全真空を基準（0点）として測定される圧力です。これに対して、ゲージ圧力は地球上の大気圧を基準として測定される圧力であり、大気圧の影響を除外した純粋な圧力の変化を示します。

そうすると、絶対圧力とゲージ圧力には以下の換算式が成り立ちます。

絶対圧力　＝　ゲージ圧力　＋　大気圧

たとえば、ゲージ圧力で0.1MPaと表示される場合、絶対圧力は0.1MPaに大気圧（1013hPa＝約0.1MPa）を加えた値である約0.2MPaになります。

エアコンプレッサーのスペックで表示される圧縮空気の圧力もゲージ圧力です。たとえば、圧縮空気の圧力が0.7MPaと表示される場合、絶対圧力にすると大気圧が加わった値になるのです。

絶対圧力・ゲージ圧力以外の圧力

圧力には、絶対圧力やゲージ圧力以外にもあります。代表的なのは「差圧」「真空圧」です。

差圧

差圧とは、二つの異なる場所または環境間の圧力差を指します。差圧は空調システムにおける空気流量の制御や、工業プロセスにおけるフィルターの詰まり検出に利用されます。

たとえば、管路の一方の圧力が300kPa、もう一方が250kPaであれば、差圧は50kPaとなります。差圧は特に微小な圧力差に着目すべきときに用いられています。

真空圧

真空圧は、大気圧よりも低い圧力を測定します。真空度の測定に用いられ、半導体製造や科学研究の分野で重要な役割を果たします。真空圧力計は、真空チャンバー内の圧力をモニタリングし、例えば10kPa以下のような低圧環境を維持するために使用されます。

この精密な圧力管理は、製品の品質や実験結果の正確性を保証するために不可欠です。

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ここまで解説してきたように絶対圧力、ゲージ圧力はそれぞれ独自の特性を持ち、利用場面によって使い分けられています。そのためエアコンプレッサーの運用においても、これらの圧力を正確に理解して測定することは不可欠といえるでしょう。

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