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2023/05/07

エアコンプレッサーのドレンとは?【ドレンを放置するデメリット】


業務用エアコンプレッサーを取り扱う上で欠かせないのが、ドレンに対する知識です。今回はドレンとは何か?ドレンを放置するデメリットや、対応機器について解説していきます。

 

エアコンプレッサーのドレンとは?


エアコンプレッサーのドレンとは、吸込み空気の中に含まれている水蒸気がコンプレッサ内で凝縮した水のことです。ドレンの発生メカニズムを理解するためには、「飽和水蒸気量」と「相対湿度」を理解が必要不可欠です。

飽和水蒸気量とは、ある温度における空気の水蒸気保有量の上限のことで、1m3の空気に含むことができる水蒸気の量をグラムで表現します。飽和水蒸気量は気温によって異なり、気温が高いほど多くの飽和水蒸気量は多くなります。

相対湿度とは、飽和水蒸気量に対して現在含まれている水蒸気量の比率のことです。天気予報でよく見る湿度とは、この相対湿度のことを示しています。ある温度下における水蒸気が飽和水蒸気量に到達すると相対湿度は100%になります。この相対湿度100%のときの温度を露点温度と呼びます。相対湿度が100%を超えると、100%を超えた分は水蒸気として存在できなくなるので、水分として結露してしまうのです。
この現象を端的に表しているのがペットボトルに付着する水滴です。よく冷えたペットボトルを暖かい部屋に置いておくと、ペットボトルの外側に無数の水滴がつきます。これは室温が高いと水蒸気として存在できる水の量が多いのに対して、ペットボトルのまわりの気温が低いために飽和水蒸気量が小さくなってしまい、飽和水蒸気量を超えた分が水蒸気から液体の水に変わって付着しているのです。

冬場に暖房の効いた部屋で窓ガラスが曇ったり、結露したりするのも同じ理由です。部屋の温度における飽和水蒸気量に比べて、外の冷たい空気に触れている窓ガラスの飽和水蒸気量が小さいために結露してしまいます。

エアコンプレッサーは、空気を吸い込む際に空気中に存在する大量の水蒸気も吸い込みます。たとえば、1分間に1200リットルの空気を送り出すコンプレッサーの場合、1日あたり約24リットルもの水を吸い込むと言われています。しかもエアコンプレッサーは空気を圧縮できても水分は圧縮できないので、空気を1/8を圧縮すると水分の密度は通常の8倍となるのです。

空気を圧縮することで断熱圧縮の状態となって空気の温度も上昇しますが、温度上昇した空気がエアタンクや配管等を通過するにしたがって冷やされます。このようにして大量の水分を含んだ空気が各所で結露してドレンとして出てくるのです。

 

エアコンプレッサーからはどのくらいのドレンが発生する?

エアコンプレッサーからはどのくらいのドレンが発生する?

 


エアコンプレッサーから発生するドレンの目安は、以下のとおりです。

レシプロ式エアコンプレッサーの場合:0.06cc/m3
スクリュー式エアコンプレッサーの場合:0.002~0.04cc/m3

オイルフリー式エアコンプレッサーの場合は、ドレンに油は含まれません。しかし、油によって潤滑、シール、冷却される給油式エアコンプレッサーの場合は、各所から排出されるドレンに油が混入します。

 

ドレンを放置することによる弊害は?

ドレンを放置することによる弊害は?

 


ドレンを含んだままエアコンプレッサーを使用すると、ドレンがさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。

たとえば、以下のような問題が考えられます。

 

  • ● 空気タンクの配管が腐食する
  • ● シリンダーや電磁弁等のエア機器が故障してしまう
  • ● 供給されるエアの品質が落ちて、汚れや塗装ムラ、生産品質の低下などのトラブルを起こす


給油式の場合は水分だけでなく油分も含むので、なおさら機器や品質に対する悪影響が懸念されます。そのため、ドレンは放置することなく適切に処理する必要があるのです。

 

ドレンを除去・処理する装置は?

ドレンを除去・処理するための装置として、エアドライヤがあります。

 

エアドライヤ


エアドライヤとは、圧縮空気を乾燥させるための機器です。代表的なドライヤが冷凍式ドライヤです。冷凍式ドライヤを使うと、圧縮空気を冷却させて凝縮水を作って空気中の水分を取り除きます。圧縮空気を低温にすると強制的に結露させられるので、この段階で水を圧縮空気のプロセスの外に排出できるようになります。その後、空気を再加熱することで、水蒸気を含んだ圧縮空気が乾燥した圧縮空気へと生まれ変わるのです。一般的な冷凍式ドライヤの場合、小型冷蔵庫を使用して圧縮空気を約10℃程度まで冷却します。

A&Cダイレクトで販売するエアドライヤ
A&コンプレッサーのエアドライヤとは?仕組み・選び方を解説

 

まとめ

まとめ

 


エアコンプレッサーのドレンを適切に処理をしないと、エアコンプレッサーや工場設備の故障や生産品質の悪化につながる可能性が高まります。そのため、エアドライヤやドレンフィルターなどを利用することがおすすめです。エアコンプレッサーのプロ株式会社A&Cサービスでは、通販サイト「A&Cダイレクト」で多数のエアドライヤやエアフィルターなどを取り扱っています。ドレン対策にお悩みの方は、まずは株式会社A&Cサービスまでお問い合わせください。コンプレッサーのプロがお客様に最適なご提案をいたします。

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